― 小林さんから見たデス美、長谷川さんから見た不動、それぞれの魅力も教えてください。
小林 : 今の長谷川さんのお話とも繋がりますが、強がってはいるけど実は普通の女の子なところがすごくいいなと思います。恥ずかしがりつつも、自分の感情を素直にぶつけてくれるところとか。一見するとツンデレっぽいんですが、実際にはデレしかなくて、そこもまたイイ!! ……って、熱が入りすぎて気持ち悪いですね(笑)。あと、ふとしたときに出る博多弁も魅力だと思います。あの破壊力はやばい……!
長谷川 : わかります、博多弁って最強ですよね! あと、なんでも喜ぶところがかわいいなと思います。いつもワクワクしていて、些細なことにも「やった!」と喜ぶ感じとか。
小林 : そうそう!不動のキャラクター性という囲いがあるので抑えながらお芝居していますけど、小林流にやっていいんだったら、デス美のあまりのかわいさにもっと気持ちが爆発しているかもしれません(笑)。
― デス美への愛情は、不動とすごくシンクロしていますね。では、長谷川さんから見た不動の魅力は?
長谷川 : 実直さです。言葉がまっすぐと刺さってくるのが、不動の魅力だと思います。普通だったら「何言ってるの?」って笑いながらツッコみたくなるようなセリフも、不動が言うから嘘がないといいますか。「本当にそう思って言っているんだな」というのが伝わってきますし、だからこそそれを見ているこっちが照れてしまうんだろうな、と(笑)。「好きだ!」っていう告白も、めちゃくちゃ突然なんですから!
小林 : 確かにそうだよね(笑)。でも、デス美さんは照れながらもそんな不動を受け止めていて。本当にこの二人はスーパー理想的なカップルじゃないかと思っています。お互いがちゃんと相手をリスペクトしているし、相手が「これやりたい」と思うものにちゃんと興味を持って一緒に楽しめるし。
長谷川 : 普通だったら「いやいや、おかしいでしょ⁉」と思うような不動の行動も、デス美は全然嫌な顔をすることがないですもんね。本当に、付き合うべくして付き合った二人だと感じます。どこにいてもイチャイチャしていますし(笑)。
小林 : よくよく考えるとおかしいけど、この二人は戦闘中もイチャイチャしますから。果たして、この仲がいつまで続くのかな……?なんて考えちゃいます。
長谷川 : え⁉このイチャイチャっぷりが最初だけだったらめちゃくちゃ悲しい!(笑)
小林 : そんなリアルは見たくない!ずっとこのままでいてほしい!
― 続いて、アフレコについて教えてください。本作では、コロナ禍ということで少人数の分散収録が行われているそうですが、二人は一緒にアフレコをされているんですか?
長谷川 : そうですね、基本的に、私たちは一緒にアフレコしてます。
小林 : 僕たちは二人でやることが多くて、エピソードによって絡むシーンが多いキャラクターがいたときは、その役のキャストさんも一緒にやるという感じですね。それでも、大人数で同時にアフレコはしていなくて、三人がMAXの人数です。
― アフレコ現場で印象に残っていることはありますか?
長谷川 : スタッフさんからのディレクションでいうと、自分のことではないんですが、小林さんが最初に「高倉健さんみたいな感じでお願いします」って言われいてたのが忘れられないです(笑)。
小林 :
そうそう、「高倉健さんで」って言われて、そのあとに「いや、やっぱり高倉健ではないですね」って。「えええええええ⁉」ってなりました(笑)。
実は僕、これまでに不動のようなタイプの役をあまり演じたことがなくて。どちらかというと体力がないキャラクターをやることが多かったので、こんなにもリーダー然とした、体格のいいキャラクターを演じるのは、最初はかなり手探りでした。自分の中に思い描いているものはあれど、そこに近づけるのはすごく大変で。最初の数話は、イメージに実力が追い付かないという葛藤に苛まれていましたね。
― どんなところで悩まれたのでしょうか?
小林 :
不動は不器用といいつつも、表情や行動からどんなことを考えているかわかりやすいので、そこら辺をどう取り入れていけばいいものかという点はかなり考えました。たぶん、第1話は僕の今までの声優人生でもっともリテイクを出したアフレコだったと思います。その後も第3話くらいまで、これでいいのかとなかなか自信が持てなくて。アフレコ前日は心配で寝られなかったです。「ほんとに大丈夫かな? もう一回V(アフレコ用の参考VTR)をチェックしておこう」と、毎回睡眠時間が削られた状態でアフレコに向かっていましたね。でも、収録が何話か進んで、ようやく「これでいいんだな」という自信を持つことができました。
スタッフの方から一番言われたのは、「二人の距離が近づいて、ドキドキするような空気になると、どうしても息が多めになっちゃうんですけど、そうするとイケメンに聞こえてしまうから、イケメンにはしないでほしい」ということでしたね。最初は「そういうシーンちゃうんか⁉」って大混乱でした(笑)。
長谷川 : 横で聞いていても、めちゃくちゃ胸キュンなシーンなのにかっこよくできないってすごく難しいなと思いました。
小林 : 「距離感をリアルに意識せずに、声を大きめでやってキャラクター性を出してほしい」というのは常に言われていて。やりながら、「これで果たしてキュンとしてくれるのかな?」という心配が僕にはあったんですけど……長谷川さん的に、どうでした?
長谷川 : 常にまっすぐ来てくれるから、キュンキュンしていました! 気持ちがまっすぐ刺さってくる感じといいますか。
小林 : あー、ならよかった!デス美さんは、最初からすごくハマっていたと思ったよ。
長谷川 : 本当ですか?デス美に関しては、思ったままにやらせてもらっているんですけど、とにかく「自分を微塵も出さない」ということは考えていました。私自身をにじませたら終わりだ、と。他の役をやっているときは、他の方から「普段の性格が役と似ているから、役にハマっていると思う」と言っていただいたり、自分の経験や記憶をお芝居に活かしたりすることもあるんです。でも、デス美に関しては、とことん自分を消して臨みました。こんなにかわいい完璧女子、自分の中の引き出しにはありませんから(笑)。
― 長谷川さんは本日も素敵なネイルをされていて、オシャレへの関心が高いデス美と通じるものがあると感じますが……?
長谷川 : あ、でも、実はよく見ると、端っこが少し剥げちゃってるんですよ……(笑)。
小林 : 言わなきゃわからないのに!(笑)あと、この『恋せか』のアフレコは、毎回、ケーキとかマンゴープリンとか、おいしいスイーツを差し入れてくださる方がいて。それを楽しみにアフレコに行ってると言っても過言ではありません。長谷川さんはいつも最初に食べ始めて最初に食べ終わるから、「早っ!」って思ってます。
長谷川 : え、ホントですか⁉全然何も考えずに食べていました……お恥ずかしい……。アフレコ日と誕生日が重なった日がありまして、誕生日ケーキをいただいたんです。そのときに、「差し入れのデザートと誕生日のケーキ、全部は食べれないよね?」って言われたんですが、平気でパクパク食べちゃいました(笑)。
小林 : 僕は横で「強いなー!」と思いながらその様子を見ていました(笑)。
― アフレコ現場も作品同様に和やかな雰囲気だったようですね。ちなみに、不動とデス美以外にお気に入りのキャラクターや注目してほしいキャラクターはいますか?
小林 : 個人的な話なんですが、神宮寺実咲/イエロージェラート役の稗田寧々ちゃんは、彼女が初めてレギュラー出演した作品に僕も出ていたんですよ。そのときにテンパりながらも頑張っていたのがとても印象的で。かわいらしいキャラクターをやるイメージがあったんですけど、今回はまさか、不動のお姉さん的立場の実咲を演じていてビックリしました。すごく落ち着いた芝居をしてるのを聞いて、「2年でこんなに変わるんだ!なんだか、お兄さんうれしいぞ」という謎の感慨を抱いていました(笑)。それも含めて、実咲は印象的なキャラクターですね。
長谷川 : 私が好きなのは王女シリーズです。みんな個性的で魅力的ですし、悪の組織の戦闘員なのに彼女たちが集まると女子会になっちゃうところもかわいくて(笑)。ボケとツッコミのバランスも面白いんです。同世代同士でワチャワチャする、王女シリーズの絡みはぜひ見てほしいです。
小林 : あと、ゲッコーの隊員にも面白い人たちが多いです。隊員A、隊員B、隊員Cみたいなキャラクターたちがすごくはっちゃけていて。「ちょっと! 僕たちより面白いことしないでくれます⁉」って思うことも多々ありました(笑)。
長谷川 : 本当に!アフレコでは先に収録された方たちの声をヘッドホンで聴きながらお芝居するんですが、皆さんめちゃくちゃ面白いことされていて。一方で、デス美ってあまり面白いことをしないじゃないですか。「私、これで大丈夫なのかな?」って不安になっています(笑)。
小林 : わかるわかる!作品をご覧になる皆さんには、ぜひ隊員A、B、Cにまで注目してご覧いただきたいですね。
― 禁断の恋をしている不動とデス美にちなんで、「ダイエット中なのにラーメンを食べてしまう」「猫アレルギーなのに猫が好き」など、お二人が“禁断の恋”をしているものを教えてください。
長谷川 : 私、本当に夜寝られなくて。早く寝た方がいいというのはわかっているんですが、夜は時間があるような気がして、TVを観たりスマートフォンをいじったりして、毎日寝るのが午前3~ 4時になってしまうんです。午前1時くらいは「まだ寝るのはもったいないな」と思い、午前2時くらいに「まだそんなに急ぐこともない」と考え、午前3時を過ぎたころにようやく「ヤバい、早く寝ないと!」って焦り出すという繰り返しで……毎回学習しないんです(笑)。寝るのは大事だと知りつつも、つい夜を楽しみすぎてしまう。私の禁断の恋の相手は「夜」なんだと思います。
小林 : 僕は、以前、とある作品の打ち上げでドンペリが当たったことがありまして。そのときに、作品のメンバーで「いつか集まってみんなで飲もうぜ!」って言っていたんですが、その後なかなか集まる機会がなく。3年ほど経過した今も、そのドンペリは僕の部屋にあるんです。「もう僕が一人で飲んじゃってもバレないんじゃない?」という思いと「いや、でも、万が一、『あのときのドンペリが……』なんて話が出たらマズイな」という思いが拮抗して、未だに手を付けられていません。ドンペリへのこの想いは、禁断の恋なのでしょうか?自分だけのものにしようか、みんなのあの子なのかという狭間で、一歩を踏み込みきれない小林がいます(笑)。
― ありがとうございました。それでは最後に、放送を楽しみにしている皆さんへ向けてメッセージをお願いします。
小林 :
原作を読んだときから感じていましたが、この作品は、デス美のかわいさをいかに見せられるかというのがポイントだと思っています。それは長谷川さんにウエイトがあるというよりも、不動やほかのキャラクターたちによる相乗効果も大きくて。僕はそのような気持ちで、この『恋せか』に臨んでいますし、ほかのみんなもデス美さんを輝かせることに尽力していますので、ご覧くださる皆さんはぜひ何も考えずにデス美さんのかわいさを感じてください。「デス美さん、超かわいい!」って思っていただけたなら、この作品を最高に楽しめると思います。
それから、戦闘シーンで、原作では描かれていないジェラート5の変身や口上が描かれているのも、僕的に胸アツポイントで。いつかイベントでキャスト5人揃ったときは再現できたらうれしいなと思っています。ちなみに、有栖川ハル/ピンクジェラート役の日高里菜ちゃんはすでにやる気満々でした(笑)。そういうアニメオリジナルの要素も含めて、不動とデス美の恋を楽しんでください。
長谷川 : この作品の見どころは、なんと言ってもデス美と不動のイチャイチャだと思います。この二人のイチャイチャ感って嫌味がないところが素敵だなと思っていて。本当に、純粋にかわいい二人なので、微笑ましく温かく見守るのもよし、「リア充め」って歯ぎしりしながら見るのもよし(笑)、ぜひキュンキュンしながら、ドタバタな不動とデス美の恋を応援していただけたらうれしいです。デス美を演じる身としても、彼女の魅力を引き出して観てくださる方に「デス美と付き合いたい!」って思ってもらえるよう、精いっぱい頑張ります。ぜひよろしくお願いします!
― 稗田寧々さん演じる神宮寺実咲/イエロージェラートと、日高里菜さん演じる有栖川ハル/ピンクジェラートは、相川不動/レッドジェラートが所属する戦隊ヒーロー・氷結戦隊ジェラート5のメンバー。まずは、お二人が原作を読まれたときの感想から教えてください。
稗田 : すごくピュアで、心が洗われるようなお話だと思いました。不動とデス美の恋模様が本当に健気で、純粋で、誠実なものなので、キュンキュンしながら原作を読ませていただきました。
日高 : あの二人の間には誰も入れないと思うよね。本来なら恋愛になんて発展しなさそうな敵同士の二人が恋に落ちて、お互いのことを愛し合っていて。そんな二人の持つパワーに「早く次が読みたい!」と感じらさせられて、あっという間に原作の最新巻まで読んでしまいました。それくらい、ものすごく勢いのある作品だと思います。周りにバレるんじゃないかというドキドキハラハラも上回る、ほっこり加減が本当に素敵で。読んでいてニヤッとしちゃうような、温かいお話だなと思いました。あと、不動とデス美を取り巻くキャラクターたちも魅力的だと感じました。めちゃくちゃ個性豊かで、みんな憎めなくて。
稗田 : わかります! どのキャラクターもみんな愛らしいかわいらしさがありますよね。敵キャラですら愛おしいと思うくらい、みんな応援したくなるキャラクターたちだなと感じています。読んでいて、すごく癒される作品です。
― では、二人が演じる実咲とハルへの印象や、演じるときに心掛けていることを教えてください。
稗田 :
実咲は一見、元気で明るい子というイメージですが、ジェラート5のメンバーといるときはしっかりとしたお姉さんの役回りをしている印象があります。みんなのことをちゃんと見てサポートする、ほかの子たちよりもちょっと大人な立ち位置と言いますか。原作を読んだときにも、不動やハルと話すときの実咲のセリフには「頼りになるお姉さんなんだな」と感じられましたし、台本を読んでもその印象は同じだったので、そういう部分で決めるところをちゃんと決めたいと思いながら演じています。一方で、お酒と噂話が好きという一面もあって。お酒を飲んでいるときや日常で会話をしているときは、ちょっとフワフワしているので、そういう実咲の軽い感じも出せたらいいなと意識したポイントですね(笑)。
実は私、普段はもう少し年齢的にも下の人物を演じることが多くて、実咲みたいなお姉さんポジションの役どころはあんまり演じたことがなかったんです。だから、アフレコ初日は「ちゃんと実咲になれているんだろうか……」とドキドキしながら臨んでいました。
― 不動を演じる小林裕介さんも、「(稗田さんには)かわいらしいキャラクターをやるイメージがあったけど、今回、お姉さん的立場の実咲を演じられていてビックリしました」というお話をされていました。
稗田 : そうなんですよ、裕介さんとは、私が初めてメインでレギュラー出演した作品でご一緒させていただいて。今回もすごく気にかけてくれて、ありがたかったです。第1話の収録は別々だったんですが、裕介さんは私の音声を聞いてアフレコされたらしく、終了後に連絡をくださったんですよ。「前に一緒だったときと印象が全然違っていて、新鮮でよかったよ!」って。なんていい先輩なんだろう!って思いましたし、おかげですごく安心できました。
日高 :
小林くん、なんだかお兄ちゃんみたいだね(笑)。
私、実咲さんとすごく友達になりたいなと思うんですよ。噂好きとかお酒好きとかいろんな面がありますが、同性から見ても憧れるようなサッパリとした性格をしていて、いろんな相談に乗ってほしいと思える女性だな、と。この作品に出てくるキャラクターってみんなギャップがあると思っているんですが、実咲さんにはかわいいなと思える、いいギャップがある気がします。より距離が詰めることができたら、きっともっとかわいい部分が見られるんだろうなと考えちゃいますね。
― 続いて、ハルについてお願いします。
日高 :
ハルは、妹的ポジション、後輩ポジションだけど、すごくしっかり者という、実咲さんとは逆パターンのギャップを持っています。頑張り屋さんで、仲間思いで、周りから見ても応援したくなるような女の子ですね。バトルに関しても、「仲間の足を引っ張ってはいけない」と常に努力を重ねていて。本当にできた子だなと思います。
演じるときは、見た目もかわいいし、担当カラーもピンクなので、最初はかなりかわいい寄りなのかなと思っていたんですけど、現場で「もっとしっかりとした面をメインとして出してほしい」とスタッフの方から言っていただいて。なので、かわいいだけじゃない、彼女の芯の強さも意識しながら演じさせてもらっています。
稗田 :
私、ハルみたいな、かわいらしくて頑張り屋さんというキャラクターがすごく好きなんですよ!
ハルの魅力の一つとして、ツッコミ役に回ることが多いという部分もあると思います。見た目も声もこんなにかわいらしいのに、けっこうズバッと言うところがいいなって(笑)。それもきっと、ハルがしっかりしているからこその役回りなんだと思いますね。
日高 : ハルってこの作品で一番の常識人かもしれないですね。ほかのキャラクターたちがみんなぶっ飛んでいるから(笑)。
稗田 : 確かに(笑)。めちゃくちゃ気も遣えますしね。でも一方で、ちゃんとノリのいいところもあって。ジェラート5のみんなで一緒にワイワイしている姿も、等身大の女の子らしくてかわいいなと思います。
― アフレコ現場の雰囲気はいかがですか?
稗田 : 今はコロナ禍ということもあって、基本的に分散収録でして。私たちは(王子野隼人/ブルージェラート役の)興津和幸さんや(轟大吾/グリーンジェラート役の)間島淳司さんと一緒にアフレコすることが多いです。
日高 : 主人公の二人(不動役の小林裕介さんとデス美役の長谷川育美さん)はだいたい一緒に収録していて、あとは絡みがある組み合わせで録るという感じですね。ハルがお当番のエピソードでは私も小林さんたちと一緒に録れましたし、そうじゃないときはジェラート5のみんなと収録しています。全員で録れていないので全体が見えない難しさはもちろんありますが、その中でみんなが作品を面白いと思って、遊んだり、楽しんだりしながらやっている雰囲気が、現場でもすごく表れている気がしています。
稗田 :
本当に楽しい現場ですよね。私、秘密結社ゲッコーのモブの戦闘員役をみんなでやったときのことがすごく印象に残っています。男性陣だけでやるのかと思ったら、私たち女性陣も参加して。楽しみながらキーキー言っていました(笑)。
モブの中に私たちジェラート5のみんなも隠れていますので、ぜひ注目してください!
― ジェラート5は正義のヒーローですが、本作のアフレコ現場で“まるでヒーローのようだ”と感じる方はいましたか?
日高 : さっき寧々ちゃんが、不動役の小林くんが「よかったよ」って連絡をしてくれたと言っていましたが、小林くんは本当に周りをよく見ていて、すごく気を遣ってくれる優しい方なんです。そういう意味で、座長として現場を引っ張ってくれる姿は、まるでヒーローのように頼もしかったですね。小林くん自身は、不動みたいなキャラクターを演じることが普段はあまりないらしく、「実は緊張していたんだよ」とあとから聞いたんですが、それを現場で全然感じさせないのも、すごいなと思いました。
稗田 : 確かに、裕介さんってすごく頼もしくて、緊張されるイメージがあんまりなくって。第1話のアフレコのときにちょうど入れ違いになって少し挨拶をしたんですが、「大丈夫かな~」と言いながらスタジオに入っていく姿に、「裕介さんもそういうふうに思うことがあるんだ……!」とビックリしました。
日高 : あとは、大御所の先輩方でしょうか。やっぱり安心感があるし、皆さんのお芝居にいい刺激をいただきました。もともと原作を読んで各キャラクターのビジュアルや性格を知っていたので、キャストを知ったときも「間違いないな!」と思いたんですが、実際にお芝居を聞いて、改めてそのすごさを実感しましたね。
稗田 : 私もすごく感じました。“ヒーローのよう”とは少し違うかもしれないんですが、私、一回だけ、ビッグジェラート博士役の茶風林さんと二人で収録をしたときがあって。ブースは別々だったんですが、茶風林さんの声をヘッドホンで聴きながらお芝居させいただいたことに、すごくドキドキしました。緊張もありましたし、幼いころからTVで聴いてきた大先輩と一緒に芝居をしていることへの感動もあって。ヒーローのような憧れの存在に会えたという気持ちになりましたね。
― 続いては、ジェラート5のメンバーの魅力を教えてください。実咲やハルだけでなく、男性陣もかなり個性的ですが、お二人が気になっているキャラクターは?
日高 : ハルを演じる身としては、やっぱり不動が一番気になりますし、推しですね。一途でまっすぐなところが素敵だなと思います。普通、主人公が女の子数人から好意を向けられたら、ちょっと気持ちが揺らいでしまってもおかしくないのに、不動はずっとデス美だけを見ていて。そういう姿は第三者から見ても、いい男だなって感じます。
稗田 :
不動はあまりにもまっすぐすぎるので、私、ときどき「本当に、変な人にひっかからないでほしいな」って思っちゃうんですよ(笑)。デス美もそうなんですけどね。不動とデス美、まっすぐな者同士が出会ってくれてよかったなと思います。
あと、不動って、いわゆる戦隊ヒーローのレッド像とまた違う、真面目すぎるがゆえの硬さみたいなものも持っていて。そこがまた新鮮だなと思っています。レッドとしてバシッと決めるところは決めるけど、決めようと思って決めているのではなくて、純粋に彼の内側から出てくる言葉で、敵に対しても、デス美に対しても、バシッと決めてくれている。そういうところがすごくかっこいいなと思います。
不動以外のキャラクターだと、私、隼人は個人的にすごく好きなタイプなんですよ。ちょっとおバカな印象で、ナルシストで、チャラチャラとしているけど、なんだか憎めなくて(笑)。
日高 : 演じる興津さんもすごく楽しそうだよね(笑)。ギャグパートに入った瞬間の声の出し方や抜き加減は、さすがだなと感じました。
稗田 : そうなんですよ、興津さんがされていたアドリブもすごく面白くて! そこも含めて大好きなキャラクターです。
日高 : 私は寧々ちゃんとは逆に、大吾みたいなキャラクターに惹かれます。ちょっとミステリアスで、何を考えているかわからないところに、興味が出るというか。意外な一面を隠し持っていそうで、もっと知りたいなと思うんですよね。
稗田 : 寡黙で何事にも動じなさそうなキャラクターが、テンパったり青くなっていたりするのを見ると、ギャップがいいなって感じますよね! 大吾は後半でそういう部分がどんどん出てきて、面白い表情をたくさん見せてくれるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
日高 : そのギャップがかわいいんですよ!
― さて、本作ではアニメオリジナルの演出として、ジェラート5の名乗りも描かれるそうですね。その口上に則って、お二人もご自分に「〇〇香る××のフレーバー」というキャッチコピーを付けてください。
日高 : キャッチコピーかぁ……。まず、「〇〇香る」の部分は、ジェラートのフレーバーにかけた言葉が入るよね。寧々ちゃんはなんのフレーバーが好き?
稗田 :
私、チョコレートが好きです! だから、当てはめるなら「カカオ香る」になるのかな?
日高さんはなんですか?
日高 : 私はマンゴーが好き!
稗田 : いいですね、「マンゴー香る」! トロピカルで弾けている感じがします!(笑)
日高 : 後半の「××のフレーバー」は何がいいかな? カカオだと大人っぽいイメージあって、知的な感じするし、寧々ちゃん自身、映画や音楽が好きだから、「知性のフレーバー」なんてどう? めっちゃかっこいいよ!(笑)
稗田 :
知性! 自分とはかけ離れすぎてて、名乗るのめちゃくちゃ恥ずかしいです! 「サブカルのフレーバー」くらいがちょうどいいかなぁ(笑)
日高さんは…お洋服とかがかわいくてオシャレなイメージがあるので、「オシャレのフレーバー」ってどうですか?
日高 : 自分で「オシャレのフレーバー」を名乗るのもけっこうイタい気がする! でも、憧れますよね。願望も込めて、「マンゴー香るオシャレ(になりたい)のフレーバー」にしようかな(笑)。
稗田 : いいですね! じゃあ私も、「カカオ香る知性(を持ちたい)のフレーバー」にしようと思います!(笑)
― ありがとうございました。それでは最後に、読者へメッセージをお願いします。
稗田 : オーディションでこの作品への出演が決まったとき、不動とデス美の恋の行く末を同じ作品内でキャラクターとして見守っていけることがすごくうれしかったです。皆さんにも、私たちとともに彼らを応援しつつ、一緒に作品を楽しんでもらえたらと思います。そして、なんと言ってもコメディ要素が強い作品なので、要所要所の小ネタでもクスッと笑ってもらいたいですね。ぜひ、恋の面も、コメディの面も、両方をお楽しみください。そして、実咲のことも好きになっていただけたらうれしいです。
日高 : 私自身、原作を読んだときに純粋に「面白いな!」と感じました。キャストやスタッフの皆さんも楽しみながら作っていますし、その思いが映像にも存分に表れていると思います。また、個人的には戦隊もののヒーローを演じるのが初めてで。名乗りに対する憧れもあったので、この作品を通じて一つの夢を叶えることができました。ハルはすごく魅力的なキャラクターで、私が彼女に惹かれた素敵なシーンも今後描かれていきます。ぜひ、そんなハルの活躍を楽しみにしていただけたらと思います。原作を好きな方はもちろん、そうじゃない方にも全員に楽しんでもらえる作品ですので、最後まで応援よろしくお願いします!
―『長谷川育美さん演じる禍原デス美/死神王女、花澤香菜さん演じる魔島忌々/魔獣王女、金元寿子さん演じる黒百合凶子/鋼鉄王女は、「王女シリーズ」と呼ばれる悪の組織・秘密結社ゲッコーの戦闘員です。まずは、三人のキャラクターの印象を教えてください。
長谷川 : 不動と付き合う以前の、ゲッコーの戦闘員としての死神王女は、凛として、堂々とした印象があって。圧倒的な強さがあるように見せなきゃいけないだろうと、そこは意識して演じています。ただ、付き合い始めて以降は、ゲッコーの人たちとテンションの差がすごく表れていて、その温度差が面白いんです。例えば、魔獣はすごくやる気にあふれた向上心があるキャラクターなんですけど、デス美は地位とか出世にはまったく興味がない感じとか(笑)。ゲッコーの方たちといるときのデス美の言動や表情は、不動といるときとはまた違う魅力があると思います。
花澤 : 忌々ちゃんは常に何かにイライラしていて、ずっと怒っている人(笑)。ツッコミ気質で、大声を張り上げることが多いです。そういう怒りの感情って自分自身もパワーを消費するから、私は普段、あんまりイライラしないで過ごすタイプなんですよ。なので、忌々ちゃんを演じるときは、自分にない感情を引き出すために、過去の嫌だったこととか、ありとあらゆるイライラを持ってきてアフレコに臨んでいます。この現場でぶつけるために、日ごろのイライラをストックしておいたり(笑)。そういう意味では、この作品のアフレコは私にとってめちゃくちゃ新鮮ですね。そして、一方で、忌々ちゃんには、ちょっとつつかれると弱いというかわいらしい面もあるので、そのギャップも素敵だなと思っています。
金元 : 凶子は外見的にも真面目な雰囲気で、第一印象だと三人の中では優等生的な感じなのかなと思うんですが、実はものすごくマイペースなところがある子です。意図的にボケているわけじゃないかもしれないんですけども、場の空気を読まずに変なこと言ったり、真面目な顔をしながらふざけていたり。そうすると、魔獣王女がちゃんと突っ込んでくれるので、ありがたいです。
花澤 : 鋼鉄って変なことを言っていても、素なのか、ふざけてるのか、わからないですよね(笑)。
金元 : それくらいフラットな調子で面白いワードを言うんですよね。きっと、この三人の関係性があるからこそなんじゃないかなって感じるんですよ。私も、アフレコで香菜ちゃんがものすごい熱量でツッコんでくれるので、安心感が半端なくて。凶子も、三人でいつも一緒に過ごしていて、何を言ってもちゃんと拾ってくれると思っているからこそ、ここまでマイペースでいられるんじゃないかなと思っています。
花澤 : 確かに、王女シリーズの三人ってトリオ感があるよね。
長谷川 : デス美も凶子も天然だから、忌々は忙しいですよね(笑)。
花澤 : 『恋せか』はアフレコしていると気づいたら声が枯れていた、ということがよくあるんですよ(笑)。こんなにツッコむことってなかなかないので、演じていて面白いです。
― 長谷川さんは、相川不動/レッドジェラート役の小林裕介さんとの対談で「デス美のかわいさは自分の引き出しにないから、演じるときは自分を消すことを意識している」とおっしゃっていましたね。花澤さん、金元さんは役と自分とで似ていると思う点、似ていないと思う点はありますか?
花澤 : さっき「普段はあんまりイライラしないで過ごすタイプ」と言いましたけど、口では言い返さないものの脳内で「うわー!!」って言い返している、みたいなことはあったりするんです(笑)。だから、そういう部分は忌々ちゃんに共感するものがあるかもしれません。
長谷川 : 表には出さず、胸に秘めているんですね。
花澤 : そうそう。……って、こう言うと、ずっとキレてる人みたい(笑)。でも、忌々ちゃんみたいに、自分の気持ちを言葉にしてちゃんと人に言えるのはいいなと思います。
金元 : 私も、凶子みたいに「マイペースだね」って人から言われることが多いので、似ていると思います。凶子を演じるときも、自分とは違うタイプだと思うこともなく、自分そのままでやっているところがありますね。ありのままでアフレコをやって、ありのままで帰っていくという感じです。
花澤 : 確かに、ひーちゃん(金元さん)もよく真顔で面白いこと言うよね(笑)。
― では、王女シリーズのチームとしての魅力はどんなところにあると思いますか?
長谷川 : よく見ると全然噛み合っていないところがすごく面白いなって思います。デス美はデス美で突っ走っているし、鋼鉄は鋼鉄でずっとブレないし。魔獣がそこの穴を埋めてくれる存在だな、と。
花澤 : 一番不良っぽいのに、一番場をなんとかコントロールしようとしているよね。
長谷川 : 三人でいるときは、魔獣がひたすら仕事しているなって思います(笑)。魔獣がいなかったら、デス美と鋼鉄は絶対しっちゃかめっちゃかになっちゃうと思います。
金元 : 確かに! 唯一ちゃんとコミュニケーションをとろうとしてくれるよね。
花澤 : でも、こんなに頑張っているのに、打てども打てども響かないんだよなぁ……(笑)。
長谷川 : (笑)。私はお二人と一緒に収録できたのは一回だけだったんですが、そのときも花澤さんは叫ぶセリフばっかりで。なんだか、「そんなに叫ばせてしまってすみません……!」という気持ちでした。
金元 : そうなんですよね。もう、香菜ちゃんと魔獣には感謝しかないです。
花澤 : 現場の中で、私がダントツでエネルギーを使っているなと思っていました(笑)。ただ、魔獣はすごく二人に憧れがあるんだと思います。それゆえのイラ立ちみたいなものも乗っかっているからこその、あのツッコミなんじゃないかな?
― 続いて、男性キャラクターの中で、皆さんが気になっている人、素敵だと思う人を教えてください。
長谷川 : デス美を演じる身としてはやっぱり不動です。自分の気持ちにまっすぐで、正面からデス美にぶつかって来てくれて。すごく好きなキャラクターです。……ただ、キャラクターとしてはめちゃくちゃ好きなんですけど、リアルで考えると、私はついていけないかもな……なんて思ってしまいます。不動は趣味が筋トレだから、めちゃくちゃ筋肉の話をされそうじゃないですか(笑)。それはちょっとしんどいな、と。やっぱり、彼はデス美だからこそ付き合える存在だと思います!
花澤 : 私は、ゲッコー大総統のボスラーが好きだな。ボスラーがしゃべると絶対笑っちゃうんですよね(笑)。すごく真面目な説明をしているのに、杉田(智和)さんの声で言われるとなんだかおかしさが出てくるといいますか。熱量もすごいし、茶目っ気もあって、ずっとしゃべっていてほしいなって思います。そんなボスラーに負けないデス美もいいですね。
金元 : 私は、ゲッコー幹部のカルバリンベアさんです。動物になっている幹部の方たちも元は人間だったはずなので、彼らがもともとどんな人だったのか、なんでその動物を選んだのかがすごく気になります。ゲッコーは悪の組織ですけど、みんないい人っぽいオーラがにじみ出ていて、もっと詳しく知りたくなっちゃいますね。
花澤 : ベアさんは絶対にいい人だよね!
金元 : そうなんです、こういう人が身近にいたらいいなって思います(笑)。
花澤 : あと、ゲッコー幹部の方々は本当にみなさん、素敵な声の方たちがキャスティングされていて。アフレコでは、私とひーちゃん、ゲッコー側のキャストさんどなたかと三人で一緒に録ることが多くて、ボスラーやカルバリンベア(役の安元洋貴さん)、あとはまだお名前は出せないのですが、マッチロックイーグルも一緒になったことがあったんですが、すごく耳が気持ちよかったです(笑)。
長谷川 : ジェラート5側もみんないいキャラですよね。轟大吾/グリーンジェラートはクールで、料理男子で、めちゃくちゃかっこいいなと思います。すごくおいしそうな夜食を作っていたりして。ただ、デス美が絡むとめちゃくちゃ不憫でかわいそうなことになっちゃうんですけど(笑)。
― さて、皆さんがもし王女シリーズに仲間入りするとしたら、「何王女」になると思いますか?
花澤 : なんだろう? 私はこの作品ではずっと怒ってばかりだったから、「キレ王女」とかがいいな!
長谷川 : えぇ⁉(笑)私、人生初のアニメの現場が、花澤さんが主演をやられている作品で、ご挨拶させてもらったときに、もう透明感が半端じゃなくて、「異次元だ!」と思ったんです。「本当に同じ次元に存在してるのかな⁉」って思っちゃうくらいの衝撃で、それがすごく印象に残っているんです。だから、私にとって花澤さんは、異次元の透明感を持っている「異次元王女」って感じです。
花澤 : めちゃくちゃヤバそうな王女!(笑)
金元 : 私は、香菜ちゃんは一言で表せない魅力がいっぱいありすぎる方だと思っていて。香菜ちゃんと一緒の現場に入ると、もっとお話を聞いていたいとか、もっといっぱいおしゃべりしたい、もっと知りたいと、すごく私の欲が出てしまうんです。「香菜ちゃんと掛け合いができてる! うれしい! でももっとやりたーい!」って(笑)。だから、香菜ちゃんは「私の欲引き出し王女」だと思いますね。
花澤 : 二人ともありがとう! すごくうれしい……けど、どちらもすごい名前だね(笑)。私的には、ひーちゃんは「スマート王女」ですね。お芝居も含めて、何をやるにもきめ細やかというか、無駄がない人だなってすごく感じていて。センスもあるんだろうし、努力で補われてるところもめちゃくちゃあるだろうなって、いつも思っています。
金元 : うれしいです。そんなふうに言われたの、初めてかも。
花澤 : 本当? いやいや、きっとみんなそう思ってるはず!
長谷川 : 私、普段はあまり先輩に前のめりで話しかけに行くタイプではなくて、ちょっと引いちゃうタイプなんです。けど、ひーさんは初めてご一緒したときから仲良くしてくださって。“受け入れてくれる空気感”みたいなものが感じられて、お話されるゆったりとしたテンポ感もすごく素敵で……後輩なのにこの言い方はちょっと変かもしれないですけど、癒される感じといいますか。だから、ひーさんは「癒し王女」だと思います。
花澤 : あー! 確かに、「癒し王女」ってすごくわかる!
金元 : ありがとうございます。長谷川ちゃんとは以前一緒の作品でがっつり絡んだことがありましたけど、私もそのとき「最初から壁がなく接してくれて、めちゃくちゃ話しやすいな」って思っていたんです。だから、私にとっての長谷川ちゃんは「接しやす王女」ですね。それか、いてくれると私が楽しくなるから、「楽しい王女」かも(笑)。
花澤 : 『恋せか』では長谷川ちゃんとあまり一緒にアフレコすることができなかったんですが、スタジオの待合室とかでは顔を合わせていて。待合室は次のアフレコを待つ人や、ちょうどアフレコが終わってブースから出てきた人がすれ違うところなんですが、長谷川ちゃんはいつもみんなの中に溶け込んでいたのが印象に残っているんです。誰とでもすごく自然と会話できるのがすごいな、って。そういう空気感を作ってくれるのがうれしかったんですよ。だから、長谷川ちゃんは「溶けこみ王女」……あ、「忍び王女」かな?
長谷川 : 忍者みたいですね(笑)。すごくうれしいです、ありがとうございます!
― ありがとうございました。それでは最後に、読者へメッセージを。
花澤 : 今こうしてしゃべっていても語り足りないくらい、それぞれのキャラクターがめちゃくちゃ濃くて、愛すべき子たちがいっぱいいる作品だと感じています。その子たちが掛け合いをしているだけで楽しいんですけど、物語の展開がどう転んでいくのかがあまり読めない面白さもあって。台本を読んで、「こうなるの⁉」と思わず笑っちゃう展開の連続でした。皆さんもぜひ、毎話楽しみに観ていただけたらと思います。
金元 : 原作を読んでいるときも思わずクスクスと笑ってしまうくらい面白くて、それをアニメでどう表現するのか気になっていました。どのキャラクターも個性的で、それぞれがパワーを持っているので、みんなが集まったときにすごく熱い30分間になるだろうと思います。不動とデス美がお互い敵対しているという設定も皆さんのツボに入っていくんじゃないかなと思いますので、それも含めてぜひ楽しみにしてくれたらうれしいです。
長谷川 : 作品的にメインになるのはデス美と不動の恋ですが、周りのキャラクターも本当に魅力的で。王女シリーズ三人の絡みも、私、すごく大好きなんです。デス美としても、三人でいるときは、死神王女としてではなく、女子会を楽しんでる女の子みたいな感じなので、不動といるときとはまた違う一面を見ていただけるのではないかと思います。それから、この作品にはものすごく豪華な声優さんたちがたくさん参加されています。もともと個性のあるキャラクターたちが、皆さんが素敵に演じられることでいっそう魅力的に仕上がってると思いますので、どのキャラクターにも注目していただけると幸いです。
―佐倉綾音さんは、禍原デス美/死神王女のクラスメイトである宝条闇奈役として本作に出演されますね。まずは、本作の物語に対する印象や、原作を読まれたときの感想を教えてください。
佐倉 :
「あるようでなかった雰囲気と設定だな」と感じました。恋愛ものも、戦隊ものも、本来ならどちらかの要素一つだけで作品が成立すると思うんです。そんな二つの要素を組み合わせて、しっかりとコメディとして昇華していて。古くは『ロミオとジュリエット』にも描かれた“叶わぬ恋”というテーマが、時代とともにどんどん進化して、ついに設定を戦隊ものにしてここまで来たんだなと思いながら、原作を読ませていただきました(笑)。
ヒロインのデス美も、悪の秘密結社の戦闘員という、普通だとヒロインとして成立しにくいんじゃないかと思うキャラクターなんですが、ちゃんとかわいらしいところもあって。相川不動/レッドジェラートの個性ともしっかりとかみ合っていて、すごく好感が持てるカップルだなと思いますね。動きもたくさんあるぶんアニメ映えしそうだなとも感じました。
― 演じる闇奈に対しては、どんな印象をお持ちですか?
佐倉 : 基本的には、明るくてマイペースなギャルです。初めて原作で見たときは、タレ目なビジュアルや語尾が伸びている印象から、おっとりしている子なのかなと感じたんですが、ツッコむところはしっかりとツッコんでいて、すごく気のいい子だと思います。でも、何か腹に一物を抱えていそうな感じでもあって……。デス美とは仲のいい友人同士なんですが、闇奈とデス美って、本来はあまり仲よくならなそうなタイプだと思うんですよね。そんな二人が仲よくなった理由も今後明かされていくので、楽しみにしていただけたらと思います。
― そんなギャルの闇奈を演じてみて、いかがでしたか?
佐倉 :
「ここまでのギャルの役を演じるのって珍しいね」といろんな方に言われたんですが、自分としてはそれほどピンとこない役どころではなくて。たしかに、こんなにギャルに振り切っている役を演じるのは数年に一度くらいなんですが、私自身、自分の声に、地に足が付いていない雰囲気を感じているので、闇奈くらい適当でマイペースなところのあるキャラクターの方が声質には合っているのかなと思っています(笑)。
あと、ギャルがマイブームなんですよ!とてもポジティブに物事を捉えて、いい意味で適当に生きているギャルの方たちが、すごく面白いなと思っていて。声優仲間でも周りにそういう雰囲気の子がたまにいるのですが、だいたい「〇〇ちゃんって……ギャルだよね?」と確認すると、みんな「そうだよ、ギャルだよ!」ってうれしそうに答えてくれるんです。そんな姿に、ギャルであることを誇りに思いながら生きていたり、誇りを持ってギャルを目指していたりするんだなと感じられて。私の中でとても興味深い存在なんですよね。だから、そんな存在を闇奈として演じられるのはうれしかったです。
― では、楽しみながら演じられた?
佐倉 :
ただ、自分の中のギャルに対するリスペクトが強すぎる分、実際に演じるのは難しかったです。「今の言い方はギャルではないな……」「いや、ギャルはそもそもそんなことを考えないのでは……」といろいろ考えてしまうのですが、そうやって考え始めた瞬間にもうギャルではなくなっている感じがして。頑張って演じようと思えば思うほど、ギャルから離れていくというジレンマに収録中は陥っていました。「私が思い描くギャルはもっとこんな感じなのに、自分の手腕では再現しきれない!」と、常に葛藤の繰り返しでしたね。楽しいけど苦しい、みたいな(笑)。
実は昔は、ギャルに対して怖いイメージや、何を考えているかわからないという印象があったんです。自分からあまりにも遠い存在な気がすると言いますか。そういう“自分からの遠さ”が迷いに繋がっているんだろうなと、個人的には思っています。自分の素質的にギャルにはなれないので、理想と現実のせめぎ合いを感じながらアフレコしていますね。
― 続いて、ほかのキャラクターの印象についても教えてください。本作には、闇奈以外にも個性的なキャラクターがたくさん登場しますが、佐倉さんのお気に入りのキャラクターやアニメで注目してほしいキャラクターは誰ですか?
佐倉 : 黒百合凶子/鋼鉄王女が好きです。原作を読んでいても、凶子と魔島忌々/魔獣王女との対比がすごく面白いなと思っていて。声が付いたときに、なんだか意外なキャスティングだなと思いました。「忌々みたいな役を花澤(香菜)さんがやるんだ」「凶子みたいなストイックな生徒会長役を金元(寿子)さんがやっているのをあんまり見たことがないな」という印象で、とても新鮮でしたね。原作を読んでいたときと、アフレコで声を聴いたときとで、少しイメージが変わった二人だったと思います。
― さて、闇奈は何やら秘密を抱えているキャラクターのようですが、佐倉さんにも闇奈のように“あまり人には言っていない秘密”はありますか?
佐倉 :
これはラジオとかでもあまり言わないようにしていることなのですが……私、賞味期限が切れた食べ物も平気で食べちゃうんです。ちょうどこのインタビューを受ける前日にも、賞味期限切れのサラダチキンを食べてきました(笑)。密封されてるし、大丈夫でしょうと思って(笑)。しっかり加熱もされているはずですし!
ただ、なんでもかんでも食べるというわけではないんですよ。匂いにはけっこう敏感なので、食べる前にちゃんとチェックするようにしています。匂いを嗅いで大丈夫そうだったらOKだろうな、と。今のところ昨日のサラダチキンでお腹は痛くなっていないので、セーフだったんだと思います(笑)。
― ありがとうございました。それでは最後に、読者へメッセージを。
佐倉 : 戦隊ヒーローと悪の秘密結社の戦闘員による“ロミオとジュリエット的コメディ”という、一風変わったラブコメが始まりました。個人的に『ロミオとジュリエット』が好きで、いろんな舞台や映像作品を観てきたのですが、この作品は悲哀の要素がまったくないところが新鮮で。原作も楽しんで読ませていただきました。アニメーションでは、ナレーションの立木文彦さんやボスラー大総統役の杉田智和さんといった濃い役者さんたちが脇を固められていて、自分もその一員になれたことがうれしかったです。収録しているときにも皆さんの声を聴いて、めちゃくちゃな世界観なのに、お芝居によって謎の説得力が追加されていると感じました(笑)。闇奈は秘めたる部分が大きい女の子なので、彼女がどんなふうに物語に関わっていくのか、ぜひオンエアで確かめていただけたらと思います。
※本編ネタバレがありますので第8話ご視聴後にご覧ください!※
― 第8話でついに、佐倉綾音さんが演じる宝条闇奈が、実は秘密結社ゲッコーの灼熱王女であることが明かされましたね。しかも、相川不動/レッドジェラートに想いを寄せているのかと思いきや、禍原デス美/死神王女のことが好きだったという展開にも驚かされました。
佐倉 :
そうなんです。ここまでご覧になった皆さんは、やっといろんな違和感が解けたのではないでしょうか?(笑)クレジットではずっと灼熱の声が「???」となっていましたが、一応ちゃんと声を当てておりまして。ようやく第8話で本領発揮できて、すごく楽しかったです。
私自身、「闇奈が好きなのは不動ではなく、デス美だった」というのは、非常に望んでいた展開でした。原作を読んだときも、最初は完全に騙されて「これ以上、不動を好きな人が増えなくてもいいんじゃないかな……?」と思っていたんですよ。なので、闇奈の本心を知ったときは、「こういうのを求めていました!」と心の中でガッツポーズしました(笑)。こういうギミックって面白いですよね。仕掛けが二重に施されていて驚かされますし、この作品やキャラクターがさらに好きになれる気がします。オーディション原稿にも第8話のセリフが盛り込まれていたので、「これを演じることができたら楽しいだろうな」と思いながらオーディションテープを録ったのを覚えています。本当に念願の第8話でした。原作を読まずにアニメから楽しまれてる方が騙されてくれていたらうれしいです。
― 闇奈と灼熱王女とを演じ分ける点で、意識されたことはありますか?
佐倉 : 演じ分けと言われると、うーん……(笑)。ただ、灼熱の方が何も考えずに演じられていた気がしますね。収録は、こもった音を再現するために、息がクリアにマイクへと当たらないよう、マスクをしながらやっているんです。しかも、灼熱は感情も見えないので、正解がまったくわからなくて。一応、「この『シュコオオオ』は同意をしてるのかな?」とか「ここは何か思案しているのかな?」、「本当に何も考えていない瞬間なのかな?」と、自分なりにそのときどきの灼熱の心情を考えてはいたのですが……結局、出た音は全部同じだったと思いますね(笑)。皆さんにも、灼熱の心の機微を感じてもらえたらいいなと思っていますけど……それはさすがに難易度が高いかもしれません。
― アフレコ中、佐倉さんが冗談交じりに「灼熱王女の息の音は、もはや本山哲音響監督がやった方がいいのでは……?」とこぼしていたのが面白かったと、スタッフの方が言っていました(笑)。
佐倉 :
冗談ではありましたけど、半分くらいは本気で思っていましたよ! だって、セリフは「シュコオオオ」ですし、さらにその音が実際に使われるときには加工もかかっちゃいますし。これでギャラをいただくのが忍びなくて……(笑)。
ただ、声優って、“いつか使うかもしれない音”を自分の中に引き出しとして持っているもので。みんながみんなそうなのかはわかりませんが、TVから流れてきた自然の音や、動物の鳴き声を、自分の身体で再現できるか、お風呂場とかで練習したりするんですよ。私もよくそれをやっていて。でも、特に女性声優は実際にその音を現場で使うことってほとんどないんです。だから、“一生使うことのない音の引き出し”を、私も含め声優さんはいっぱい持っているんですよね。そういう意味では今回、普段はなかなか開けることのない引き出しを開けて、マイク前で演じられたというのはすごくありがたかったです。演じていて楽しくはあったんですが……それでもやっぱり、「シュコオオオ」に手ごたえはほとんど感じられませんでした(笑)。
― 第8話での闇奈の行動を、佐倉さんはどう感じていましたか?
佐倉 : 闇奈がデス美を好きだと明かされるまでの、彼女の不動に対する態度は、「そりゃ勘違いされるよな」と思いました(笑)。鈍感な不動でさえも、デス美に言われて「なるほど、俺のことが好きなのか」と納得するくらいなので、闇奈と不動は相当すれ違っていましたね。共通点は「デス美が好き」ということぐらいで、なかなか交わることのない二人のバランスが面白かったです。
― では、闇奈が想いを寄せるデス美の印象はいかがですか?
佐倉 : デス美は一見すると融通が利かないところもありますけど、原作を読んでいても、彼女がモテる理由がわかるなと思います。読者の楽しいところって、デス美が一人で考えごとをしている様子を全部見られるところだと思うんですが、そういう部分も含めて好きになれる魅力がある子だな、と。私としても、闇奈が惹かれる理由はとてもよくわかるし、女子から見てもかわいい女の子だと感じますね。
― 闇奈のライバル的存在である不動について、佐倉さんが認める彼のいいところを教えてください。
佐倉 :
つい応援したくなる性格をしているところでしょうか。不動みたいな、いわゆる“猪突猛進系の主人公”って、見ている側が「なんでそうなるの⁉」とツッコみたくなるような行動をすることが多くて。不動も例に漏れず、そういうこともしますけど、それでもこちら側をイライラさせないと言いますか(笑)。「まったく、不動はしょうがないな、もう」って思わせられるのが、彼のいいところだと思います。デス美に対してとにかく一途だからなのかな?
「まっすぐだから許される」だけではない彼の好感の高さは、不思議な魅力ですね。
― さて、第8話ではデス美への想いが強すぎて闇奈は暴走してしまいましたが、そんな彼女にちなんで、佐倉さんの“つい暴走してしまうほど好きなもの”を教えてください。
佐倉 :
洋服が大好きなんです。今、家の一部屋を丸ごと、服を置く場所にしてるんですが、7畳くらいあるスペースが全部埋まってしまっていて。ラックを新しく買ってもすぐ満杯になっちゃうし、もう1年間毎日違う服を着られるくらいの枚数を持っていますね。こんなにあっても仕方ないと自分でもわかっているし、親にも怒られるんですけど……服との出会いは一期一会だという思いが強すぎて、どうしてもやめられないんです。
ちなみに買うときは、通販で買うことが多いです。お店で買うこともあるのですが、通販サイトを見ていて気になった服を「実物を見てみたい!」というだけで買ってしまったり。あと、「このコロナ禍でデザイナーさんは大変だろうな」と、デザイナーさんに課金する意味も含めて買ったりもします。知り合いのデザイナーさんに話を聞くと、やっぱりコロナ禍でみんな外出を控えているから、服を買う人も減っているらしくて。そう聞くと、つい使命感にかられてしまうんですよね、「経済回すぞ!」って(笑)。以前、好きなデザイナーさんの展示会に行ったときには、「地方のバイヤーさんでもそんなに買いませんよ!」と驚かれてしまいました……。理性のリミッターが外れて暴走するってこういうことなんだろうなと、自分のことながら思っています。
― インパクト大のエピソードをありがとうございました。では最後に、読者へメッセージをお願いします。
佐倉 : 私としては、闇奈の本心と正体が判明して「ここからが楽しくなってまいりました!」という気持ちです。不動とデス美のロミオとジュリエットを楽しむ中で、また別のロミオとジュリエットが始まったかのような感覚で、闇奈とデス美の関係値を見守っていただけたらと思います。そしてもちろん、引き続き、不動とデス美の関係性も応援してもらえたらうれしいです。
―『恋は世界征服のあとで』は、小林裕介さん演じる正義のヒーロー・相川不動/レッドジェラートと、長谷川育美さん演じる悪の組織の戦闘員・禍原デス美/死神王女の禁断の恋を描く物語。小林さん、長谷川さんは原作を読まれたときにどんな感想抱きましたか?
小林 : 一般的にラブコメってお互いに淡い気持ちを抱いて、そこから徐々に距離を縮めていくというのが定番だと思うんですけど、この作品では最初から二人のボルテージがだいぶ上がった状態で(笑)。ここまでストレートに恋愛を見せられるのも潔くて面白いなと感じました。そして何よりも、デス美さんがかわいい! 実は、僕にとって、デス美さんはストライクゾーンど真ん中なんですよ。ビジュアルといい、髪の長さといい、性格といい、ものすごくツボで。どの話数でも「デス美さんがかわいいに尽きる!!」と思いながら、全巻読ませていただきました。
長谷川 : 私は悪い人やイヤな人が出てこない、登場人物がみんないい子というタイプの物語が大好きなんですが、この作品はまさにそれで。めちゃくちゃ好きな世界観だなと思いました。デス美と不動は悪と正義という対立関係にあるんですが、平和で、かわいくて、それでいてすごく笑えて……。ただただ癒されながら、終始ニコニコして読んでいました。魅力的なキャラクターがたくさんいますが、その中でもデス美にすごく惹かれていたので、実際に役が決まったときはうれしかったです。
― 演じるキャラクターへの印象を教えてください。
小林 : 不動はどんなときでも熱量たっぷりといいますか、常にまっすぐで、ある意味、一番純粋な心を持っている人だと思いました。そのうえでちゃんと腕っぷしも強くて、絶対にぶれない正義感というものも持っている。そういうところはどんなシーンにおいても変わらないので、常に何かしら醸し出せたらいいなと思って演じています。
長谷川 : デス美は死神王女としてはものすごく強い子ではあるんですが、それ以外は本当に普通の、等身大の女の子です。かわいいものやオシャレが好きで、“ザ・女の子”という要素を詰め込んだらデス美が出来上がるのでは?と思うくらい。演じながら「私もデス美を見習わなきゃな」と思っています(笑)。デス美のかわいさは、きっと男子からしても理想だと思いますし、女子から見ても素敵だなと感じてもらえるんじゃないでしょうか。